中東が熱い! ~中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌~

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今、中東が熱い!3月12日から15日まで、サウジアラビアのサルマン国王一行が日本を訪問されました。日本のメディアではもっぱら国王一行による「爆買」に焦点が当てられていましたが、もちろん国王一行は爆買をするために日本を訪問したわけではありません。国王一行は日本を含め、中国、マレーシア、インドネシアなどアジア各国を訪問しています。今回の歴訪は成長著しい石油輸入国との関係強化並びに、サウジアラビアへの投資促進を図るためと言われています。

私の記憶する限り、中東は今まで外交に積極的ではなかったように思えます。中東の中でもサウジアラビアは世界一の産油国であり、埋蔵量も(近年ベネズエラに抜かれるまでは)世界一を誇っていました。また、原油の輸出における収入でサウジアラビアの国民(外国人を除く)は近年まで税金を納める必要がありませんでした。そんなサウジアラビアがなぜ、原油依存からの脱却を必死に進めようとしているのでしょうか。その背景には、国王の交代とサウジアラビアの危機意識があったのです。

中東地域の変革~サウジアラビアの変貌

サウジアラビアは国王の交代を気に、一気に原油依存からの脱却を進めています。昨年、合意されるはずはないと見られていたOPECでの減産協定にもサウジアラビアが積極的に減産をのむことにより合意にこぎつけました。また、来年にはサウジアラビアの石油会社「サウジアラムコ」が世界の株式市場への上場を果たすと言われています。急速に日本などの石油輸入先進国と連携を強化し、同国内の産業構造改革に乗り出しています。

サウジアラビアの危機感

昨年、原油価格は数十年ぶりの安値をつけました。2003年のイラク戦争依頼、原油価格は上下しながらも右肩上がりに上がっていました。ところが昨年、2003年以来の25ドル/一バレルという安値を記録しました。原油価格が下がった背景にはアメリカのシェールガスの存在がありました。

シェールガスは存在自体はだいぶ前から認められていたものの、採掘に費用がかかりすぎていたため、実用化には至っていませんでした。しかし、近年の採掘技術の発展でシェールガス生産費用は格段に安くなりました。そして、シェールガスはアメリカ全土に広がっており、埋蔵量は今後100年分以上とも言われています。そして米国以外にも、中国やヨーロッパ等潜在的な埋蔵量は測りしれません。その結果、今まで石油を中心としていた世界のエネルギー事情に異変が起きたのです。

世界一の石油埋蔵量を誇ったサウジアラビア、もちろん原油は無限ではありませんが、この先数十年に渡り採掘は可能と考えられていました。もちろん採掘可能量には変わりはありません。しかし、世界の主たるエネルギー源であった石油が、今後シェールガスにとって変わられる、もしくはライバルとして共存していかなければならない可能性に直面したのです。

シェールガス革命だけではありません。近年ヨーロッパでは脱石油を目指し、クリーンなエネルギーへの代替を進めています。特にドイツでは、実現性に不透明感は残るものの、昨年内燃エンジンを搭載した車の販売禁止を目指す法律が可決されました。アメリカでもオバマ政権時代にはグリーンエネルギーの導入を政府主導で勧めていました。仮にシェールガス革命が起こらなくても、埋蔵量が豊富だというだけでは近い将来、世界が脱石油を果たしてしまった暁には、サウジアラビアの収入源はなくなってしまうのです。

そんな危機感から、いま、サウジアラビアは急速に石油依存からの脱却を目指しているのです。

中東が安定するために

中東は第二次世界大戦以降、中東戦争を繰り返し、政治、治安共に不安定なイメージが強く残っています。特に最近ではイスラム国などのニュースで、より中東へネガティブなイメージを抱く人が増えているかもしれません。常に戦争の絶えないイメージのある地域ですが、一昔前まではオスマン帝国が存在し、世界の中心でもありました。今でこそ、「産油国」、「イスラム国」のイメージが強いですが、元来中東は非常に文化的、物質的にも優れた地域でもあったのです。世界的な宗教;キリスト教、イスラム教、ユダヤ教が生まれたのも中東です。石油に関しても、大昔豊かな土地、栄養豊富な海が広がってたからこそ、今の原油が存在しているのです。

現在、中東は原油が豊富に存在するが故に、紛争の源となっています(もちろんその他の理由もありますが)。各国はパワーバランスを崩すため、維持するため、皆中東に力を注いでいます。オバマ政権こそ、中東への介入は消極的でしたが、トランプ政権は中東への積極的な介入を名言していますし、先日実際に実行もしました。現在、われわれ人類は石油以外にも、原子力、自然エネルギーなど様々なエネルギー源を開発してきましたが、未だに石油への依存度が高いのは事実です。そんな世界だからこそ、各国は凌ぎを削って中東の石油利権を争っているのです。

しかし、それもまもなく終を迎えるかもしれません。

それは先に述べたように世界が、特に先進国と呼ばれる国々が環境への影響から化石エネルギーからの脱却を目指しています。完全なるクリーンエネルギーへの移行はまだしばらくかかるでしょう。しかし、そう遠くない将来、一部の国は完全なるクリーンエネルギーへの移行を実現するでしょう。原子力を除く、クリーンエネルギーへの移行が加速度的に進み出したとき、中東は新たな局面を迎えます。原油依存から脱却し、工業化を図らなければ、外資は稼げなくなるでしょう。そして原油が世界に主エネルギーでなくなったとき、アメリカ、中国、ロシアなどの大国は中東へ介入を減少させるのではないでしょうか。そして、大国が去ったとき、初めて中東地域に真の意味での独立国家ができ、平和への道を歩みだすのではないでしょうか。

そんな日が一日も早く来ることを望んでいます。

参考図書

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