さて、またしても本のレビューである。「夜と霧」、この本は長らく自分の「読みたい本・読まなければいけない本リスト」にあったのだが、いろいろあってなかなか読めずにいた。最近、ようやく近くの図書館からこの本を借りることができたので、レビューを書いてみる。
この本はアウシュビッツ収容所に収容されていた精神分析学者による体験談である。内容については、Amazonなどの紹介文を参考にして頂ければいいと思う。
様々な見方があると思うが、自分はこのような本を読むとき、常に意識しているのが「日本」と「アジア諸国」である。この本では、アウシュビッツ収容所に収容された収容者たちが強制的に働かされたことが記述されている。食料は十分に与えられず、休息もままならない状態で、強制的に労働させられ、様々な工事が行われた。その中には戦争に必要だったもの(爆弾や戦車などの兵器)、インフラ整備(道路建設、水道工事など)もあったかも知れない。
さて、日本も同じように植民地とした朝鮮や満州などで捕虜を使い、道路を建設し、ダムを建設した。それらの工事は素晴らしく、日本の占領により朝鮮や中国は現代化を果たしたという説もある。強制的に働かせ、インフラを整備したことで現代化が進んだ。「だから、日本の占領はむしろ正の影響の方が大きい」と主張する人達もいる。
現実に現代化が占領によって進んだのも事実であるが、しかし、それと同時にそれらは強制的に、植民地の人たちを働かせることによって成し遂げられたのも事実だろう。日本は、占領による発展の為に働かされていた人たちの気持ちを汲み取ることが必要なのではないだろうか。
この本には、旧訳と新訳が存在し、差異があるため、余裕のある人は読み比べてみるのもいいだろう。