就職活動が6月1日から解禁となった。就職活動については近年様々な議論がされており、解禁時期も毎年異なっている。以前は早ければ大学2年生の秋ぐらいから活動している人もいたが、徐々に後ろ倒しとなってきている。毎年様々な議論を経て一進一退を繰り返している。昨年は解禁が8月からだったが、今年は4年生の6月からとまた早まった。新卒一括採用は様々な意見があるものの、一向に無くなる気配を見せない。毎年就活の時期になると、脳神経科学者、茂木健一郎氏の就活批判が話題になる。彼は一貫して日本の新卒一括採用を批判し続けているのだが、それ以上に氏の新卒一括採用批判への反論が毎年出てくる。私自身は茂木氏の意見に大賛成であるが、新卒一括採用の利点、欠点を考慮したうえで、考察をしてみたいと思う。
新卒一括採用のメリット
企業側のメリット
新卒一括採用は長年日本で採用されてきたこともあり、もちろんメリットが多くある。企業側の観点からすると、優秀な人材を早いうちから確保しておくことが可能である。
次に、まだ何にも染まっていないため、その企業独自の色に染めることができる点である。そのため、どちらかというと個性のある人よりも柔軟で、何事にも従順に従う学生が好まれる傾向にあるように思える。
企業にはそれぞれの経営計画であったり、企業文化、雰囲気が存在する。空気を読むことが重要とされる日本では、個性よりも企業の経営、企業文化に柔軟に溶け込める人間が好まれるのである。
学生側のメリット
最近では終身雇用も徐々に危うくなってきているが、それでもまだ日本では「正社員=終身雇用」という傾向が根強い。また、実力よりも年功序列というように年々給与が上がっていく仕組みができており、なかなか崩れていない。そのため、学生側としても早い段階で生涯の仕事を保障してくれる新卒一括採用はメリットが大きい。一度就職してしまえば、会社経営が危うくならない限り、定年までを保障してくれるのだから。
また、多くの企業では「総合職」として採っており、新卒者を企業内で教育することを前提としている。総合職で採用されれば、一つの業務だけではなく、様々な経験をすることが可能なのである。
新卒一括採用のデメリット
それでは反対にデメリットも見ていこう。
企業側のデメリット
企業側のデメリットとしては、ポテンシャルで採用するため、採用の際は学生時代の活動、それから面接での受け答えぐらいしか判断材料がない。そのため、優秀な人材を見抜く技術が必要とされ、どうしても確率論で高学歴な学生が優先的に取られてしまうのがある。しかし、あくまでもポテンシャル採用であるため、実際に雇ってみたら想像とは大きく違っていたということも少なからずある。しかし、新卒一括採用は原則「終身雇用」を前提としているため、下手に解雇することもできなくなる。結果、企業内でのパワハラであったり、いじめなどが蔓延する温床になっているのである。
次に日本中の企業と同時期に採用を行うため、就活生からの書類が膨大にならざるを得ない。全国一斉で採用活動を開始するため、学生はもちろん、企業側も多くのエントリーシートを限られた期間内に目を通す必要があるのである。結果、人気企業に書類が殺到し、膨大な書類を短期間で裁かなければいけなくなる。インターネットが普及した近年はさらにその傾向が顕著になり、人気企業には今まで以上に書類が届くことになる。
そうなると、必然的に足切りラインを設定しなければならなく、何の実績もない学生は必然的に学歴で振り分けられることになる。
少子化が進んでいるとは言え、それでも毎年40万人前後の学生が就職希望を出している(Recruit Works大卒求人倍率調査より)。
学生側のデメリット