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もう勝てない?マースクラインが即時ブッキングを開始

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コンテナ船

こんにちは。またまた物流系の記事です。海運最大手のマースクラインがオンラインブッキングにて即時ブッキングサービスを開始したと発表しました。マースクラインは数年前から全ブッキングをオンラインでの受付に切り替えていましたが、ブッキングの確定まで平均2時間かかっていたのを今回のアップデートで即時発行が可能になったとのことです。これによりウェブブッキングの最大の懸念であるスペースの確保がスムーズになりました。

即時オンラインブッキング

海運最大手のマースクラインが11月1日、同社のオンラインブッキングにて危険品・特殊コンテナを除く即時ブッキング確定サービスを開始したと発表しました。海運各社がオンラインブッキングへと舵を切る中、マースクラインは他社より頭一つ抜けた形となります。

リリースノート:Maersk first container shipping company to launch instant booking confirmation

海運各社は人手不足と効率化を図るためオンラインブッキングへと舵を切っています。その中でもトップを走っているのが海運最大手、マースクラインです。マースクラインでは数年前からブッキングの受付をオンラインのみに切り替えています。サービス開始当初は様々な障害もありましたが、改良を重ね今では最も進んだオンラインブッキングとなっています。

今回、即時ブッキングが可能になったことで、今までの懸念であったブッキングスペースの確認についても即時に判明することとなり、他社を検討するかスケジュールをずらすかの判断が迅速にできるようになりました。

従来のオンラインブッキングの課題

日本企業では船積みのブッキングはいまだにメールや電話で行われているケースが多いです。そのため、オンラインブッキングはなかなか日本にはなじんでいませんでした。その理由として、電話であれば即時スペースが確保できるのに対し、オンラインではスペースの確認が取れるまでタイムラグがあるというものがありました。

そのため、オンラインブッキングは情報が残り便利ではあるけれど、特にフォワーダー業界においては敬遠されてきたのです。

また、スペースの確保と同様にオンラインフォームへの入力の煩雑さがありました。電話などであれば過去のブッキング実績から即ブッキングが可能なのに対し、オンラインフォームでは細かいところまで入力する必要がありブッキングが煩雑になっていたのです。しかし、マースクラインはブッキング履歴の利用、さらにオンラインフォームへの入力もAIを活用したサジェスチョン機能を利用しているため非常にスムーズに行えることができるのです。

今回、最大の障壁であった即時ブッキングを可能にしたことで、さらに利便性が高まりました。フォワーダー業界もマースクラインを今後積極的に利用していくべきでしょう。

他社の動向

オンラインブッキングで一つとびぬけているのがマースクラインですが、追従するように他社も次々とオンラインブッキングへと舵を切っています。コンテナ船社各社の動向をまとめてみました。

コンテナ船社 オンラインブッキング 概要
Maersk Line 即時ブッキング 半自動化・入力の手間は最小限
CMA-CGM オンラインブッキングのみ 契約番号の入力、乙仲の連絡必要。少々手間ではあるものの、Maersk Lineに次いで使いやすい
APL オンライン・メールのみ CMA-CGMに統合されたものの、独自のシステムを使用。ブッキング番号、参照番号など様々な番号があり煩雑
SITC オンライン推奨 簡易的スペース確認が可能。危険品も受付。ただし確認は人海戦術で行っているため、営業時間外はブッキングが遅くなる
WAN LINES オンライン推奨 担当営業番号の入力の必要があり、少々煩雑
OOCL 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
MSC オンラインはInttra経由 Inttraは入力項目が多く、煩雑。現在改善中
SINOTRANS 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
COSCO Shipping 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
INTERASIA 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
ONE(Ocean Network Express) 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
EVERGREEN 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
Hyundai 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
Yangming 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない
TS Lines 2018年10月時点で日本ではサービスを行っていない

このように欧州系のコンテナ船社はオンラインブッキングを推奨しているのに対し、ONE(Ocean Network Express)他中国系や台湾系の船社はなかなかサービスの開始まで進んでいるところは少ないのが現状です。

各社オンラインサービスは進めようとしているものの、オンラインブッキングの障壁は高く、入力項目であったり料金の紐づけであったりと課題が山積しています。そのため、完全オンライン化を実現できているのは欧州系船社のみになっているのです。

日系企業はもっと危機感を持て!

さて、マースクラインが即時オンラインブッキングサービスを開始したことで、マースクラインの利用顧客はますます増加することが見込まれます。高度な自動化を実現しているマースクラインではコスト削減が進んでいて、海上運賃も非常に低コストでの展開が可能になっています。

競争が進む昨今、最終的には物流コストで船社を選定する企業も少なくありません。少々ブッキングの手間が煩雑でもコスト重視でマースクラインに流れている企業も少なからず存在するのです。

そんな中、日本を代表するONE(Ocean Network Express現在はシンガポールに本社を置いている)はサービス開始当初はオンラインブッキングを設けておらず、自動化には後れを取っています。合理化を進めるとの錦の御旗の元、MOL、NYK、K-Lineの統合が進められましたが、実際には合理化は困難を極めています。

結果統合後初の決算では赤字となってしまいました。

マースクラインの営業スタイルは日本ではなかなか受け入れられていません。しかし、高度な自動化を進め、徹底したコスト削減、合理主義を進めることで海上運賃の削減、そして最終的には顧客サービスの向上を実現しています。日本企業はもっと危機感を持ち、自動化への投資を進めるべきではないでしょうか。

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